イケフェスガイドツアーで輸出繊維会館を見学
大阪を拠点に数多くの名作を設計した建築家・村野藤吾の技が冴える。といっても、一見すると 派手さのないビルらしい外観なので、多くの方が気にせずに通り過ぎてしまうかもしれない。
しかし、眼を凝らせば、直線的なイタリア産トラバーチンの壁と、キラリと光る角を丸めたアルミサッシの取り合わせに、レトロ感と未来感が不思議に混じり合っている。
西側に張り出した玄関庇や、内部の手すりも繊細な造形。内部の壁画は堂本印象によるもので、その中でも前室の壁画 は“万邦交易”を表現している。
こうしたアーティストとのコラボレーションも村野のお家芸だ。
大阪の繊維輸出業界が生み出した、時代を超越した会館である。
輸出繊維会館
ポイント
建設年:1960年
構造・規模:SRC造8階、地下3階
設 計:村野・森建築事務所(村野藤吾)
まずはエントランス。
朝ドラ「べっぴんさん」でキアリス本社のロケ地としても使われていたので見覚えのある方がいるのでは?
エントランスに飾られているのは、日本画家・堂本印象の原画を使ったガラス製モザイクの壁画。(印象のサインも残されています)
海の中のイメージで構成されていますが、抽象画的なので何の生き物かはわかりません。
近くで見ると、3センチ四方のタイルが一枚一枚貼られているのがわかります。
輸出繊維会館
輸出繊維会館・屋上
屋上の塔屋上に鬼の角のような避雷針がありました。
避雷針にいたるまで村野藤吾デザインです。
輸出繊維会館
美の壺に登場した階段はこちら
堂本印象の壁画は階段下まで続いていました。
優美な曲線を描く手すりは握りやすいように計算されて設置されています。
輸出繊維会館
輸出繊維会館・地下のサロン
会議室へとつながる地下のサロン。
船の絵が描かれた華やかなタペストリー「船と虹」も堂本印象の作品。
こちらも朝ドラ「まんぷく」の日本即席ラーメン工業協会発足式会場のロケ地として使われています。
籐製の衝立や椅子、UFOのような照明も村野段とロビー